本誌は、単に過去の医療事故を広報的な趣向で掲載していくのではなく、1つ1つの事例を法律家・医療従事者、双方の目を通じて解析し、裁判所が出した判断を正しく又は批判的に認識していくことに重点を置いた形で事例を紹介していきます。
そのため、各事例の冒頭サマリーでは、法律用語を極力省き、医療関係者にも理解頂ける言葉遣いや解釈を付記しています。これによって、裁判ではどのように理論が展開され、どのような手順を踏まえて判断し、結果として何がポイントとなって判断されたかが容易にご理解頂けるようになっております。
また、文中「専門医のコメント」において、臨床医による客観的な所見を見ることも大変重要なポイントと考えております。

『裁判において争点となった手技は、専門医から見て、どの程度難易度があるものか?』
『率直な見解として、今回の事故は、通常の医療従事者にとって防ぐのは困難な状況か?』
『今回の事故は、他の病院でも頻繁に発生する可能性はあるか?』
『自分が当事者だったら? 我が病院で行った場合、どう対応するか?』

など、できるだけ実際に臨床医学に携わる専門科の医師に所見を頂き、客観的な解釈も載せています。
こうした主旨をご理解いただき、本誌を病院の安全管理、若手医師の育成において活用して頂ければ幸いです。

求められる医療水準、術後の合併症、顕在しない疾患、回避不能な突発的な発症など、裁判で争点となる事柄においては、医療関係者が考える見解と、一般社会が抱く解釈とは、まだまだ乖離する点が多いように感じられます。
いま、全国の医療機関では、安全管理面の充実の対応に追われていますが、これと同様に、司法においても、医療現場の実態・本質を理解し、色々な手法を用いて的確な判断が出来るよう、各裁判所でも試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいます。
本誌を通じて、お互いがお互いの実情・理論を正しく認識し、少しでも見解の乖離が解消できることを念頭において刊行していきたいと思います。
定価2,450円(税込み・送料別) 偶数月1回15日発売
お得な年間購読も御座います(1セット:年6冊 12,000円
(税・送料込み)

 
●次号予告 2012年2月15日発売予定 第36号(B5版・152頁)

●指標事例
1. 腹腔鏡手術の術式を希望していたのに、術中に標準開胸の術式に移行され、右肺上葉の全部を切除されて精神的苦痛を被ったなどとして、損害賠償を求めた事例
  横浜地裁 平成22年12月22日判決

2.

劇薬指定の薬剤をオーダリングシステムの運用の不備等から誤って過剰投与したことに対して損害賠償を求めた事例
  東京地裁 平成23年2月10日判決
3. 肺がん検診において陰影の読影に見落としがあり、その結果、肺がんの発見が遅れ、患者が死亡したなどとして、損害賠償を求めた事例
  千葉地裁 平成23年3月18日判決
4. 白内障と誤診した過失、必要がない手術を行った過失により、視力が低下したなどとして、損害賠償を求めた事例
  名古屋地裁 平成23年5月13日判決
5. 集中治療室のベッドから床に転落して頸髄を損傷し、四肢麻痺となった患者が、病院側の診療契約上の義務違反を主張して、損害賠償を求めた事例
  広島高裁岡山支部 平成22年12月9日判決
6. 緊急手術等の必要性を判断するために各種検査を実施すべきであったところ、検査を怠り、緊急手術が遅れた結果、患者が死亡したとして損害賠償を求めた事例
  千葉地裁 平成23年3月25日判決
7. 造血幹細胞移植に関する説明義務を怠ったことにより、急性骨髄性白血病の患者が死亡したとして、損害賠償を求めた事例
  名古屋地裁 平成23年1月28日判決

(順不同・掲載変更あり)

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